最近になって、新しい疾患概念が明らかになった。
その名も「重症熱性血小板減少症候群(SFTS : severe fever with thrombocytopenia syndrome)」と言われるもの。
重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)によって発症すると言われているが、これを媒介するのがマダニであると言われている。
マダニは野山に存在し、哺乳動物に寄生して吸血することで栄養を得ている。
その際に、マダニの口からSFTSVがヒトの血液中に注入され、発症するとSFTSを発症するというモノだ。
SFTSとは以下の条件を全て満たすモノと定義されている。
1.38℃以上の発熱
2.消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血のいずれか)
3.血小板減少(10万/mm3未満)
4.白血球減少(4000/mm3未満)
5.AST、ALT、LDHの上昇(いずれも病院の基準値上限を超える値)
6.他に明らかな原因がない
7.集中治療を要する/要した、または死亡した
(平成25年1月30日厚生労働省健康局結核感染症課長通知より)
実際には、上記の症状の他に、頭痛や筋肉痛、神経症状(意識障害、痙攣、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)を起こしうる。
マダニに噛まれることで感染しうる病気は何もこのSFTSだけではない。
実際、野山には多くの寄生生物が生息しており、それらに噛まれることで感染しうる病気は色々ある。
今回、この病気が世の中に広く知れ渡るようになったが、やはり野山を駆け回る際には長袖長ズボンを着用し、しっかりしたクツを履くなどして肌の露出を控えることが重要なのだろう。
ちなみ、このマダニに噛まれた場合、自分で取り除くのは危険であるため、医療機関で取って貰う方が良いらしい。
また、噛まれた後で6日から2週間ほどで熱が出てきた場合、「マダニに噛まれた」という事実を伝えながら医療機関を受診する方が良いだろう。
春から秋にかけてマダニの活動が活発になる為、ぜひとも気をつけていただきたい。
参考)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts.html
http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/sfts-iasrs/3321-pr3983.html