最近、僕が勤める病院の救急外来に脳低温療法の機械が入った。
脳低温療法は、心肺停止から蘇生して意識がない患者さんが、その治療を受けることで脳の障害が少なくて済む可能性が高くなる治療法だ。
あくまで心肺停止状態から回復することが絶対条件で、それ以外に年令や元々のADLが自立であったことなど、様々な制約を受けながら適応が絞られる。
また、この治療を受けたからと言って、元通りに生活できるという保障はなく、場合によっては植物状態を作り出す可能性もないとは言い切れない。
この新しい治療法は、救急外来での導入を決めたこともあり、救急外来が率先して他科へのアピールを行い、連携を深めていかなければならない。
本当はもっと前からしたかったのだが、病院の行事が色々あってほとんど話ができないまま機械が納入されてしまった。
今夜、深夜勤務で、明けた明朝にICUの看護師相手に説明会を開かねば…。
業者も来てくれる予定だし、頑張らねば。。。
脳低体温療法を実施するには、多少の違いはあると思いますが、厳密な適応基準があります。
当院では、以下をすべて満たす場合に適応としています。
*75歳以下で、倒れる前の段階では自分のことは自分でできていた人
*目撃とbystanderCPR(目撃者が速やかに心肺蘇生を開始している)のある心肺停止で搬送された
*初期波形Vf(一番最初に救急隊が確認した心電図の波形が心室細動)
*早い段階での自己心拍再開(概ね心停止から30分以内)
*遷延する意識障害(GCS3~6)
*頭蓋内疾患や敗血症や末期がんではない
*凝固異常がない
*手術から2週間以内ではない
*妊婦ではない
*昇圧剤にも反応しない低血圧ではない
*著し底体温ではない
*家族の同意が得られている
以上の条件をすべて満たす場合を、良い適応として脳低温療法を実施する基準としています。
それ以外の場合は、脳低温療法が及ぼしうる危険性を考慮し、適応としない方針です。