医療現場ではヒヤリ・ハットはしばしばある。
ヒヤリ・ハットとは「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたことを指し、医療事故にまで至らなかったが、その原因にもなりかねない危険性を孕んだ事象を言う。
例えば点滴を違う患者の所に持っていって危うく投与しかけたり、患者に渡した薬の袋に違う患者の名前が書いてあったのが判明して危うく誤薬しかけたり、と言ったものや、医者が診察室から呼んだ患者とは違う患者が入ってきて、暫く気づかず診察していた、など、医療事故に繋がりかねない事はいくらでも起こりうるのが医療現場だったりする。
これらはインシデント・レポートと称するレポートに詳述し、危機管理室に報告するなどして、その原因の究明と対策の立案を危機管理室が行う様なシステムが多くの病院ではできていたりする。
しかし、小規模の病院や診療所ではそういう部署はないことが多い。
それでも何かしらのヒヤリ・ハットはしばしば起きており、それが大きな事故に繋がっていなかったりするから、公になる事がないだけであったりする。
ここで大事なのは、そういうヒヤリハットを起こした者を責めることではなく、何故そのようなことが起きたのか、またどうやったらそれは防ぎ得るのか、を追求することで、それが今後の大きな事故を予防することになる。
ここでその担当者を追求しても、大事なスタッフを失い、遺恨を残すだけになってしまい、それは根本的解決にはなり得ない。
それゆえ、多くの病院では、そういう危機管理対策室を設けて、そこでの分析とその後の啓蒙活動に力を入れている。
医療の現場では、公にされていないちょっとしたインシデントはしばしばあり、それを通り越したアクシデントも少なからず存在している。
大事なのは、そこから何を見いだし、また関係者にどう対応するかが問題になるのだ。