離島の医療事情

ここは、人口6000人を切る島だが、かつて赴任したことのある与論島より島の面積は大きい。
サトウキビなどの農業と漁業が中心で、多くは船で20分ほどの島や本土に出稼ぎに行っていたりする。
島に占めるのはやはり高齢者がほとんどで、若い世代は少ない。

島の医療を担うのは、そこにある診療所だったりする訳だが、船で20分ほどの島には多くの医療機関があり、病院も2つある。
島を出ることを厭わない若い世代は、しばしばその島に出向かい、診療を受けている。
逆に、島の診療所に通っているのはほとんどが常連の高齢者や、島内にある施設の入所者だ。

そんな島の診療所に、僕らはしばしば応援に入っている。
小児から老人まで、内科的疾患から外科的疾患まで何でも診ることを厭わない僕らは、どんな患者に対してもまずファースト・タッチすることを常とする。

患者さんが自分たちの意志で島外の医療機関を受診するのは当然のことでもあり、それは別に何とも思わない。
でも、しばしば小さな子供の診療に携わったり、何かしらの急病で島の診療所を受診しに来ると「やはり僕らが来ていて良かった」と思う。

ここにいると「島民の生命は自分が守らなきゃ!」という使命感と責任感を強くする。
でも、実際には滞在期間は約1週間。
そしてそれも3月いっぱいで終わる。

数年する内に船で20分かけて通っていた島との間に橋ができる。
そうすれば、島の診療所の役目も大きく変わってくるだろう。
僕らがそこまでつなぐことはできなかったが、次に赴任するスタッフたちが、同じ思いでこの島の人たちの健康を支えてくれたらいい。

いつまでも、この島の人たちの暖かな心が失われないでいて欲しいと願う。

 

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